有明テニスの森公園
東京オリンピック・パラリンピックは1年延期となりましたが、テニスの会場となっております有明テニスの森公園内施設の音響・映像設備施工を弊社にて担当し、竣工いたしましたので、御紹介させていただきます。
この度の改修では、有明コロシアムと屋外スピーカーの改修、ショーコート/クラブハウス・インドアコート/別棟が新築され、弊社は全設備における競技用音響設備と有明コロシアムとショーコートのLED大型映像装置の施工いたしました。
有明コロシアム
外観
内部
今回の音響改修にあたって「いかに明瞭度の高い拡声を、均一に客席に届けるか」に重点をおいて音響設計を行いました。既設ポイントソーススピーカー取付用の鋼材の影響を最小限に抑えるようにミリ単位での調整を行い、屋根の開閉に伴い、スピーカーの位置も変わっても、音圧レベル/明瞭度共に均一性を損なわないようなスピーカー配置と自社開発のシステムによるパターン制御を導入しております。
シミュレーションから現場での調整まで、浪花千葉音響計画様にも参画いただき、長い時間をかけてきめ細やかなシステムを実現していただきました。
ラインアレイスピーカーはRAMSA WA-LA500AWPを採用。
シミュレーションからアンプへのパラメーター転送まで一貫して行うことができるソフトウェア「PASD」を駆使して、スムーズに現地調整を行うことができました。
施工においてはリギングプレートにクイックリリースピンを挿すだけの簡単な構造で、1キャビネットずつ引き上げてから架台上でラインアレイを組み立てることができ、リスクを最小限に抑えて安全な作業が可能でした。
また、キャビネット間の角度調整も容易に行うことができる構造の為、現地での調整作業の時間を大幅に短縮することができました。
鋼材が張り巡らされたスピーカー架台
システム制御にあたっては、ワイヤレスマイクの音量調整のみを行う小規模イベント用の「簡易モード」、中規模イベント用のコート内の移動側ワゴンで調整を行う「移動ワゴンモード」、大規模イベント用の放送室内のデジタルミキシングコンソール(CL3)を使用してより細かな調整を行う「詳細モード」、上記3つを自社開発のシステムにてボタン一つで切り替えられる仕組みを導入しております。
放送室内上部にはレベルメーターを設置し、各スピーカー単位での出力レベルを目視にて確認可能になっております。
また、屋根下に配置されているパワーアンプ架の盤内温度を監視しており、オーバーヒートによるアンプの故障を事前に防ぐことが可能です。
放送室内 音響調整卓
放送室内 音響・映像機器架
放送室内 音響・映像機器架
映像設備については、南北2面に設置されていたテニス専用スコアボードを大型LED装置に更新し、ライブ映像等汎用的な映像を映し出すことができるようになりました。
場内に2か所固定カメラを設置しているほか、移動型カメラも納入し、コート4隅のカメラ端子盤から大型LEDパネルに映像を送出することが可能です。
また、自社開発の得点入力装置(スポーツコーダー)を導入し、テニスのみならずバスケットボール/卓球/バレーボール/フットサル/バドミントンのスコア表示が可能になっております。
テニスの得点表示
有明コロシアム内 大会進行室
(弊社にて設計・製作した映像操作卓)
大会進行室内 音響・映像機器架
ショーコート
有明コロシアム改修に合わせて新築された、3,000人収容の屋外コートです。
音響/映像システム制御は「有明コロシアム」と同等のシステムを導入し、規模の異なる3つの操作パターンを導入しているほか、得点入力装置(スポーツコーダー)も導入しております。
また、「有明コロシアム」の音響/映像を送出することができるよう、システムを構築しております。
外観
内部
大型映像装置
コートの4角に設置された屋外用スピーカー
ショーコート放送室内 音響調整卓
ショーコート放送室内 音響機器収納架
(難聴者用ループアンプも実装)
ショーコート大会進行室内 映像操作卓
(弊社による設計・製作)
クラブハウス・インドアコート
有明テニスの森公園の管理棟にあたる「クラブハウス」です。
外観
受付に配置されたアナウンスシステム
中央のタッチパネルにてエリアを選択して、アナウンスマイク(左端)にて拡声を行います。
屋外用のワイヤレスマイク(左から2番目)にて屋外コートでの拡声も可能です。
BGMなどの拡声選択も可能です。
クラブハウスインドアコート内 音響機器架
外構スピーカ設備
施設内に設置されている屋外スピーカー